「収納は多いに越したことはない」
現在住んでいるところが収納が少なく、
それを原因として家が片付かなかったり
はみ出た荷物によって
部屋が圧迫されているとしたら、
そうならないように新しい家には
収納を出来るだけ多く作っておきたい
とお考えになると思います。
また、先に建てた友人からも
「収納が足りないから
もっと作っておいたらよかった・・」
という言葉を聞くこともあるでしょうから
なおのこと、家を建てる時は
収納に過敏になってしまうと思います。
しかし、収納とて
作り過ぎは面積の増加につながり、
返済負担が増加し
貯蓄(積立投資)資金を食い潰す
原因になりかねないし、
作り方によっては
コストが増えた反面、
分量はほとんど増えてなかった
なんて事態も引き起こしかねないので、
正しい図面の見方と作り方を
知っていただく必要があります。
おはようございます。
SIMPLE Inc.高根です。
まず基本として
知っておいていただきたいことが、
収納は「管理のしやすさ」が大事である
ということです。
例えば、一般的に収納の奥行きは
91cmで作られることが多いのですが、
ほとんどの持ち物が、
この半分の奥行きでおさまることから
この収納は床面積のわずか半分しか
有効活用出来ません。
手前に物を置いてしまうと
奥に置いてある物が取り出しにくくなるし、
奥に置いてあるものを
忘れてしまう可能性が高くなるからです。
要するに管理がしにくくなる
というわけですね。
他方、これを教訓として
奥行きを半分にし、逆に幅を2倍にすると
床面積は全く変わらないまま
(=コストを増やすことなく)
収納の分量を2倍にすることが出来るし、
手前に何かを置くこともないため、
非常に管理がしやすくなります。
かつ、2m40cmある天井高を
有効活用して棚を設置すれば、
さらに分量を増やすことが出来ます。
棚板が2枚だと
80cmずつの高さになりますが、
これだと壁に余白が生じるのに対し、
棚板を5枚に増やせば
40cmずつの高さになり、
余白を生じさせることなく
壁面を使い切ることが出来るからです。
わかりやすく数字に直してみると、
奥行き91cm×幅91cmで
棚板が2枚の収納だと
2m73cm(91cm×3段)の
分量しかないのに対し、
奥行きを半分、幅を2倍にしつつ、
棚板の枚数を5枚にすると、
先程の4倍となる
10m92cm(1m82cm×6段)もの
分量になるという感じですね。
以上のような事実から
収納は「管理のしやすさ」を
第一に考えていただきたいし、
それを実現するためには、
「床」の広さを追求するのではなく
「壁」の広さを追求していただきたい
と思っている次第です。
✔️「通り抜け動線」の欠点
そして、収納を考える上で
もう1つ覚えておいていただきたいことが
「通り抜け動線」は
分量を減らす原因になるということです。
例えば、3帖という広さの収納には
使える壁の長さが約5.2mあるのですが、
この収納を通り抜け出来るようにすると、
多くの場合、使える壁が半減してしまいます。
通路となる壁には物が置けなくなるし、
出入り口となるドア面にも
物が置けなくなるからです。
その上、ドアが1本増えた分、
コストが上がることになるし、
スイッチも2箇所切りにするか、
センサーライトにせざるを得なくなり
さらにその分コストが上がることになります。
要するに、通り抜け動線は
利便性を手に入れることが出来る反面、
コストを増やしつつ
分量を半減させてしまうリスクがある
というわけですね。
ゆえ、通り抜け動線に関しては、
本当にそこは分量を犠牲にしてまで
通り抜け出来た方がいいのか?
ということまで熟慮した上で
決めていただければと思います。
いかがでしたでしょうか?
たくさん作りたいとお考えになる収納とて
闇雲に床面積を増やせば
その分コストに直結することになるし、
その上、作り方次第では
わざわざコストを増やしたのに
分量は全く増えていないし、
かえって使い勝手が悪くなってしまった
なんて事態も引き起こしかねないことを
ご理解いただけたのではないでしょうか。
というわけなので、
具体的に設計に入る前に
収納の正しい見方と作り方を
ぜひ覚えておいていただけたらと思います。
それでは、、、