トレンドから発生する問題点

多くの住宅会社が

南向きの部屋をつくるのを

基本にしているのと同じように、

弊社では水回り空間を

玄関と反対側につくることを

基本にしています。

 

たいていの場合、

勝手口ドアは

キッチンや洗面脱衣などの

水回り空間につくられますが、

「勝手口=裏口」

であると考えると

水回りを表口である玄関から

最も遠い位置に配置するのは

ごく自然な流れだからです。

 

また、水回り空間は

窓もしくは換気システムによって

しっかりと換気をしたい

場所でありますが、

結果、不揃いな高さや形の窓や

換気扇の外部フードが

外壁面から見えることになるし、

かつ給湯器も水回り近くに

設置されることを考えると

出来るだけ裏面の方に

隠したいところですしね。

 

そんなこんなで

「水回りは玄関の反対方向に」

という暗黙のルールを

設計時には採用しているのですが、

コロナ以降トレンドとなっている

「入ってすぐに手洗い

→そのままの動線で服を脱ぐ

→クローゼットで着替える

→リビングにたどり着く」

という動線は、このルールを

見事に崩すものとなるため、

なかなかな考えもんだなあと

思案している次第であります。

 

おはようございます。

SIMPLE Inc.高根です。

 

では、この動線の

どこに問題を感じているのか?

となりますが、

まずお伝えしたいのが

この流れで間取りをつくると

玄関の近くに水回りが

ずらりと並ぶことになるため、

外観が乱れやすくなります。

 

入ってすぐに

洗面をつくるとしたら

その近くにトイレも

つくることになるでしょうし、

洗面からの流れで

脱衣室に進む動線だとしたら

脱衣室の隣には

お風呂をつくることになりますが、

これらのスペースに必要となる

窓やら換気扇が

道路面(表面)から

見えやすくなるとしたら、

外観が乱れやすくなると同時に

やがてそれらを起因とする

外壁の汚れも

目立つことになりますしね。

 

もちろん、

窓や換気扇などを

そこにつくらないようにすれば

このような問題は

発生しなくなりますが、

トイレやお風呂は良いにしても

採光が必要であろう洗面や

通風が必要であろう脱衣から

窓を無くしてしまうと

快適な暮らしから遠のいてしまう

という別の問題が

発生してしまいますしね。

 

✔️無駄の量産

 

そして、この動線で感じる

もう1つの問題点が

「闇雲に通路を増やしている」

ということです。

 

通路を増やすことが

問題である理由は、

通路が増えれば

その分収納スペースが

減ってしまうからですね。

 

仮に3帖のファミクロを

つくるとした場合、

クローゼットの壁面を

最大限に活用すれば、

ここには棚1段あたり

5m20cmの

物置スペースが出来るし、

同じ距離のハンガーラックを

つくることが出来るのに対し、

通路をこしらえてしまうと

単純にその収納量は

半減してしまいますからね。

 

出入り口の数が増えれば

その分ドアの本数も増えますが、

そうなれば自ずと

コストも増えることになりますしね。

 

玄関近くの洗面で

歯磨きや洗顔をするのはちょっと・・

となれば、

脱衣室にもう1つ

洗面を設置することになり、

その分コストが増加すると同時に

掃除場所も増えることになるし、

脱衣スペースを広げることになれば

さらにコストが増加することに

なってしまいますしね。

 

そんなこんなで

無駄を量産しやすくなる

このトレンドの間取りは

設計側としてはいかがなものかな・・

と思案している次第であります。

 

もっとも、

予算が有り余っている方には

こんな話は必要ないことであり

「余計お世話だわ」と言われると

全くを持ってその通りなんですけどね。

 

とはいえ、

小さな子供たちの行動を想像すると

帰ってきて手を洗って

服を着替えてから

おやつに在り付くというよりは、

(親の望む理性的な行動)

おやつに向かって一直線で

いきなりリビングに飛び込む

(欲求に忠実な本能的な行動)

なんてことに

なりそうな気しかしないので、

その点も踏まえた上で

間取りの要望を

考えてみていただければと思います。

 

これも前回のLDK同様に

コストに関わる大きな要因ですしね。

それでは、、、

 

 

 

この記事を書いた人

simple

Simple Inc.代表 高根慶雄
住居をプロデュースするだけでなく、住宅ローンアドバイザーとして金銭面でも施主に寄り添う。