耐震とバランス

屋根には重たい瓦が乗っている上

ホールダウン金物によって

基礎と柱が緊結されていない昔の家は、

大きな地震が起こった時

2階部分が真下に崩れ落ち、

それを原因として命を落とす

可能性がかなり高いのですが、

屋根が軽量化され

ホールダウン金物が標準的に

設置されるようになってからは

そのリスクが大幅に軽減されました。

 

とはいえ、

ここ最近の地震の傾向を見る限り

震度7クラスの大きな地震が

1度だけ起こって終わりではなく、

2度3度と繰り返し起こっているし

その後も3〜4クラスの余震が

継続して起こっていることから、

より耐震に細心の注意払い、

対策を講じなければいけません。

 

おはようございます。

SIMPLE Inc.高根です。

 

というわけで今回は、

高い耐震性を実現するために

知っておいていただきたいことについて

お伝えしていきたいと思います。

 

✔️平屋を基本で考える

 

間取りにもよるものの

2階建てと平屋を比べると、

確実に2階建ての家の方が

耐震性は低くなりやすいのは事実です。

 

1階には大空間がつくられるのに対し

2階は細々と区切られた

個々の部屋がつくられるからです。

要するに、2階は柱や壁が多くなり

重くなるのに対し、

その荷重を支える肝心の1階に

柱や壁が少なくなってしまうのが

2階建ての難点だということですね。

 

その上、充分な採光を確保するために

1階部分には大きな窓を設置することから

さらに柱や壁量が減ってしまいがち

ですしね。

 

ゆえ、平屋が建てられるのであれば

平屋にしていただくのがベストである

と考えているのですが、

敷地にゆとりがなく

2階建てしか建てられないとしたら

1階部分と2階部分の柱の位置は

60%以上合わせること、

1階部分と2階部分の壁の位置は

50%以上合わせること、

この2つをクリアすることを意識しつつ

間取りを考えていただければと思います。

そうすれば「耐震等級3」が

比較的取得しやすくなると思います。

 

✔️重要なのはバランス

 

そして、耐震を考える上で

最も重要なのはバランスだと思います。

健康を維持するために

摂取する食べ物のバランスが大事なように。

また食事と運動のバランスが大事なように。

 

例えば、家づくりでは

南からの直射光を取得することが

大事であるという考え方がありますが、

これに固執し過ぎると

確実に耐震性は低くなります。

 

直射光がたっぷり取れる南ばかりに

開口が集中するのに対し、

直射光が全く取れない北には

開口をほとんど設けず、

結果、南と北の壁量バランスが

無茶苦茶悪くなるからです。

 

その上、

2階部分にベランダなんかを

突き出して施工しようものなら、

壁がない南側に更なる負担が

のしかかってくるわけですしね。

かつ、先程申し上げたように

2階建ての場合、上からの荷重に対し

それを受ける1階に柱や壁が少ないため

そもそもバランスが悪いわけですしね。

 

ゆえ、単純に壁量を増やすことで

帳尻を合わせるのではなく、

全体にバランスよく壁が

配置されているかを確認しながら

間取りを考えていただければと思います。

 

✔️「中庭」は耐震性が悪い?

 

時折「中庭は耐震性が悪いからダメだ」

というお話をお伺いすることがありますが、

果たしてそうでしょうか?

 

「中庭」をつくると

確かに家の中の壁量は少なくなります。

しかし、採光を中庭から取れる分、

外周部からの採光が必要なくなるため

外周部に設ける窓を

圧倒的に減らすことが出来ます。

 

結果、

外周部に壁を多くつくることが出来るし、

東西南北四方にバランスよく

壁を配置することが出来るようになります。

つまり、高い耐震性が実現出来る

というわけです。

 

かつ、平屋にすれば

上からの荷重も心配しなくていいし、

重量車両の通行による振動や

台風時の強風などの影響も

最小限に抑えることが出来るし、

なにより耐震等級3を取得するのに

間取りに制限を受けることも

ほとんどありませんしね。

 

というわけなので、

耐震に関しては

等級や制震なども大事なことですが、

より強く長持ちする家にするためには

バランスがいい建て方になっているかが

それ以上に大事であることを

頭の片隅に入れておいて

いただければと思います。

 

それでは、、、

 

 

 

 

この記事を書いた人

simple

Simple Inc.代表 高根慶雄
住居をプロデュースするだけでなく、住宅ローンアドバイザーとして金銭面でも施主に寄り添う。