「全改修」か「建替」か

建築費が高騰した今、

実家が所有する土地に建てる

という選択肢が

ずいぶんと現実的なものに

なってきたかと思いますが、

その選択肢の中で

使っていない木造の古い家がある場合、

それを全改修した方がいいのか

あるいは建て替えた方がいいのか

という疑問を

誰もが感じられると思います。

 

もちろん、その答えは

一概にこうだと言えるほど

簡単な問題ではないのですが、

いずれにするかを判断する上で

最も大切だといっても過言ではない

「金額面」のことについて

今回はお伝えしていきたいと思います。

 

おはようございます。

SIMPLE Inc.高根です。

 

まず、木造住宅の

全改修と建て替えとで

大きな違いが出ることが、

「地盤調査を行うか否か」です。

 

「建て替え=新築」の場合、

瑕疵担保履行法の定めにより

必ず家が建つ位置で地盤調査を

行わなければいけないのに対し、

全改修の場合、

基礎を残す形になるので

調査を行うことが出来ないからです。

 

ゆえ、新築の場合は、

地盤改良工事費用が

別途でかかる可能性があるのに対し、

全改修の場合は

調査そのものが出来ないため、

これが発生する可能性がありません。

 

続いて「解体費」ですが、

これに関しては、全て壊すよりも

基礎や主要な構造部(土台・柱・梁)を

残しつつ耐震や断熱の補強を行なっていく

全改修の方が、

処分するものの量が少ないため、

その分は安くなりそうなものの、

一気に解体していける建て替えに比べ、

全改修は主要なものを残しながら

解体していかないといなく、

その分、職人さんの手間がかかることから

手間代を相殺すると

案外そう変わらないかもしれません。

 

建築費に関しては、

材木にかかる費用が、

新築に比べて抑えられることから

その分、安く収まると思いますが、

同じように残す基礎に関しては、

古い家である場合、

確実に立ち上がりしか基礎がないため、

耐震強度を高めると同時に、

地中から上がってくる

水蒸気を防ぐために

新築の家同様にベース部分にも

鉄筋を入れつつコンクリートを

打たないといけないのと、

そのために家の下にある

余分な土を処分しないといけないこと、

かつ、間取り変更の場合などは

新たに柱が立ち壁が出来る所に

追加で立ち上がりをつくること、

以上の工事が必要となるので、

実質新築と同等に費用がかかると

思っていただいて良いぐらい

ではないかと思います。

 

以上が、

新築と全改修を比べた場合の

金額的な差異となるのですが、

結論を申し上げると、

新築の場合とそう大きな差異が

生じないのかもしれません。

 

ゆえ、よほどその建物に

思い入れがない限りは、

間取りを大きく変えたいとお考えの方や

不安な耐震の強化や

不快な断熱の強化を図りたい

とお考えの方は、

建て替えという選択肢の方が

いいんじゃないか

と思っている次第です。

 

✔️怖いのは地盤の傾き

 

そして、古い家を使う際に

注意して見ておきたいことが

軟弱地盤による建物の傾きです。

 

地盤調査を行い、

必要な場合改良工事を行う上、

立ち上がりだけじゃなく

ベースにまでコンクリートを打つ

現在のベタ基礎の場合、

軟弱地盤によって建物が傾くことは

ほぼありませんが、

立ち上がりしか基礎がない昔の建物は

軟弱地盤の影響をモロに受け、

建物が傾いている可能性が

かなり高いからです。

 

そして、傾きが酷い場合、

基礎に大きな亀裂が入り、

かつ、亀裂に前後のズレが

生じていたりします。

 

もちろん、こんな場合は

その基礎は到底使えるものではないため

確実に建て替えした方がいいんですけどね。

 

というわけなので、

実家にある古い家の全改修か

建て替えかを悩んでいる方は、

まず家に傾きがないかを調べていただき、

傾いているなと感じた場合、

基礎に大きなクラックとズレがないかを

見てみていただければと思います。

 

その上で、使えそうなら

全改修と建て替えを

両輪で検討していただくといいかと思います。

 

それでは、、、

 

(追伸)

固定資産税に関しては、

全改修をした場合、

どれくらい評価が見直されるか

分からないので

ここでは割愛させていただきました。

それと、全改修の場合

現在は大きな補助金があるのですが、

これもタイミングによって変わるので

ここでは割愛させていただきました。

以上、悪しからず。。

この記事を書いた人

simple

Simple Inc.代表 高根慶雄
住居をプロデュースするだけでなく、住宅ローンアドバイザーとして金銭面でも施主に寄り添う。